小中一貫の学びの多様化学校を求める提言書

議会教育福祉常任委員会で9月議会最終日に報告しました。

2025年9月28日

常任委員会の閉会中の特定事件の調査に基づく提言書

 

特定事件調査 ○教育福祉常任委員会 「教育における子どもの権利」

 

全国で不登校児童生徒は40万人に上り、二宮町でも令和6年の不登校児童生徒数は、小学校で55名、中学校で62名と増え続けており、学習支援教室やまびこだけでは到底、対応しきれない現状になっている。

我が委員会では令和5年に、「こどもの権利」を研究課題としてこどもにとって最も良いことを尊重するなど重要な基本原則が協働の研究を経てうたわれる二宮町子どもの権利条例制定を提言した。

同年、全国的に注目される長野県のグリーンヒルズ小中学校と南アルプスきのくに子どもの村小中学校を現地視察した。どちらも通常の私立の学校だが、独自の個別最適、かつ協働のアクティブラーニングで生徒が自立し生き生きと学業に励む姿、かつ不登校児童生徒がほとんどいないこと、さらに全国から学校に行きづらい子どもたちが集まっている状況を確認した。

続いて令和6年9月には、こどもの権利研究の一環で不登校児童生徒の生き生きとして尊厳ある社会参加と学びを保障するための環境整備、また広域で不登校特例校を二宮町に創る研究を進めることをふくむ提言書を提出済みである。

 

不登校特例校とは文科省が不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行うものでは昨年より「学びの多様化学校」と名称が改められている。

学校教育法施行規則第56条に基づき(第79条(中学校)、第79条の6(義務教育学校)、第86条(高等学校)、第108条(中等教育学校)において準用)、学校を指定し、特定の学校において教育課程の基準によらずに特別の教育課程を編成して教育を実施することができるとする方向性を推進する施策である。

 

今年度の継続調査では県内の大和市の不登校特例校引地台中学校分教室定員30名と、鎌倉市の学びの多様化学校由比ヶ浜中学校定員30名の視察を実施した。

 

大和市の分教室は小学校の空き教室を利用して、限りある資源の中で最大の効果を上げるべく教師4名が試行錯誤しながら生徒とむきあっている。

学校の理念とコンセプトは「学校らしくない学校」で机は並んでない。クッション抱いて寝転んで学ぶプログラムを作り、決めるのはこどもであり、大人は子どもに寄り添い決めつけず、こども自らが考えて判断する。

 

鎌倉市の学びの多様化学校は、県内初の分校で、2年間かけて特例校の開校を準備した。定員30人に10人程のスタッフ(教員・スクールカウンセラー)。通常の中学校の年間授業時間数1015時間に対して、770時間に削減。小学校には1度も行かなかった生徒が毎日通学している事例もあった。

 

注目すべきことは、いずれも学校長含むチャレンジチームが子どもたちに向き合ってオリジナルに研究、実践してきた授業の内容が、令和5年に視察した長野県の2校の実装に酷似していることであった。つまり、不登校児童生徒に寄り添う有効な学校の在り方がすでに実証されてきているということだ。

 

長期化した不登校生徒が生き生きと通学できるなどの効果のある学びの多様化学校の実践と研究が、不登校児童生徒のこどもの権利の保障につながるものと考え、以下を提言する。

 

1.   二宮町に適した小中一貫の「学びの多様化学校」を具現化し、不登校で苦しむこどもたちを減らすこと

2.  町単独での設置が不可能なら、中郡でなど広域での設置も県等と協議し、検討すること。

 

以上