討論内容:
私は、令和6年度一般会計及び3つの特別会計、下水道事業会計について賛成の立場で討論させていただきます。
委員会の討論でも申し上げましたが、令和6年度は、積年の懸案であった庁舎の重大なリスクを除くための新庁舎建設事業を大きく負担した住民の福祉に資する、ラディアン周辺行政機能集約事業を推進しました。新庁舎建設の費用を抑え、最大の効果が得られる基本設計、償還計画をもって最終工程の実施設計、建設計画に結実させたこと、これを大きく評価いたします。並行して、防災の要である、これも懸案の消防庁舎大規模改修にかかり、地域集会施設の耐震化や更新、また、その他各事業とも、3つの特別会計、下水道事業会計とも激変する社会状況に改正された国の多様な動きも取り入れながら、堅実な執行をされたことを確認しました。
令和6年度に突きつけられた防災・減災につきましては、新しい線状降水帯リスクを含め、激甚化する災害を視野に、具体のシミュレーションのリスクコミュニケーションを、能登半島に支援に入った消防や防災、また、その後の国の持つ最新の情報を子どもたち、保護者世代から高齢者までが一人一人がシェアし、それぞれにふさわしい減災のシミュレーションを我が事とすることが重要です。
地域コミュニティ含め、様々な既存のセーフティーネットである自治や地域福祉の仕組みが、今の時代の人々の生活実感や感覚に合わなくなっている様相がはっきりしております。担当課は、仕事の洗い出し、また、負担軽減を研究していると聞きましたが、新しい動きの種を育てることも重要です。住民力の高い二宮では、団塊世代のボトムアップの次の波が、子育て世代を中心に新しい創発的なコミュニティ活動の形で生まれてきています。代表的なものとして、東大果樹園跡地のシンボル事業や町制90周年記念のラディアンでの「二宮ミライ史物語」という、子どもたちと大人たちがつくる創作演劇、また、多様なプログラムの企画は、まさにその気運を表しています。
にのみや気候市民会議は、先進的にもコンサルではない、住民ファシリテーターが行政職員とともに信頼関係を築きながら、心を尽くして、専門家の先生方、10代から90代までの住民と市民会議を牽引しました。議場で何度も申し上げましたが、市民会議とは、世界中で政治が、また、議会が、目先の矮小な論点に延々と時間と費用を費やし、本来の重大な長期的な課題解決に向かう政策転換ができない中、生活者が、学者や専門家と学びながら、持つべき未来に向かう政策提案を議論する場です。私はこの気候市民会議の全てを傍聴する中で、多世代の人々の建設的なコミュニケーションと、かけ橋となる人とチームが鍵だということを感じました。チームが主体、客体の壁を溶解する人間の本来の実力を開放する手作りの公としての方向性を持ちます。近視眼的に今までの社会システムに硬直することなく、生まれようとする多様な住民の創発をサポートし、幾重にもコミュニケーションと実装の仕掛けをつくっていく動きが必要です。必ず大きな風が起こると思います。
総括質疑では、その視点から、日本で先進的に作業療法のまちづくりを行う飛騨市の取り組みを紹介しましたが、既に二宮町で、令和7年度予算で、まなびの教室やこども家庭センターに作業療法の初めの一歩が進められていることを確認しました。少ない職員で多くの事業をこなす二宮町が、町規模を生かした、まさに自然な人と社会の本領を発揮するためには、発想を変えて動きを起こす作業療法的な協働が重要な仕掛けです。ぜひとも令和8年度に向けて、二宮型SDGsの推進のために、鍵となる人と事業が育つコミュニケーションを育てていただきたいと思います。
防災、環境、教育をつなぐ流域治水は、今や世界が求める日本の知見です。防災が各国の政策の主流となる今、この知識と体得こそが、英語教育に勝る教養だと思います。生態系も生かす国際的視野を持つ気候市民会議提案の流域治水会議の発展型、また、楽しく歩いて暮らせる人が出会う生活圏の創出、また、子どもの権利、また、私たちが持つ人間としての自然の力の研究、そして、にのみや学園の不登校児童生徒を包摂するような改革、また、住民団体や事業者、NPO、新たな法人観光協会など、民間との協働のランドスケープデザインのためのガバメントクラウドファンディングなど、国、県、町内外の資源を巻き込むべき材料において、この町に不足はありません。二宮型SDGsの創発のまちづくりに大いに期待して、賛成討論といたします。